犬の診察室

犬の去勢手術・不妊手術について

不妊・去勢手術は、犬が人と暮らす上で管理上考えられたことです。そのため、

  • どのような目的のために手術をするか?
  • きちんと犬・猫の管理ができるか?

をよく考え、飼い主さまの責任で手術が必要か判断してください。 当院では、去勢手術は翌日退院ですが、不妊手術は開腹手術となるため、人間同様に術後の傷口管理や体力の回復期間が必要との考えから、1週間の入院期間を設けており抜糸をして、通常の生活が出来るようになってからの退院になります。大切なご家族だからこそ、より快適な環境で過ごせるよう、配慮しておりますのでご了承ください。

 

去勢手術をすると?

1発情期の雌に反応しなくなります

2性格がおとなしくなります

3尿をいろいろな場所に掛けなくなるなど、雄としての性的行動を取らなくなります

4太りやすくなると言われています

5ホルモン反応性の皮膚病になると言われています。ただし、因果関係ははっきりしていません

6精巣の病気の心配がなくなり、前立腺の病気になる可能性が低くなります

不妊手術をすると?

1発情がなくなり、妊娠しなくなります

2卵巣・子宮の病気の心配がなくなります

3乳腺腫の確率が低くなります

4太りやすくなると言われています

5ホルモン反応性の皮膚病になると言われています。ただし、因果関係ははっきりしていません

来院時の注意とご案内

  • 事前予約をお願いします
  • 朝食を食べさせずに来院してください
  • 手術は午後行います。手術時間は、去勢手術の場合は麻酔時間を含めて約30分、避妊手術は約1時間です
  • 不妊手術が行えるのは、生後5~6ヶ月からです
  • 不妊手術は、発情期・偽妊娠により乳腺が張っているときは行いません
  • 必要に応じて、血液検査などを行うことがあります
  • 不妊手術後は1週間入院していただきます
  • 去勢手術は、手術翌日の退院となります
  • 赴任手術後は1週間入院していただきます(開腹手術のため)
  • 退院後1週間は、シャンプーしないでください
  • 6・8種ワクチンを1年以内に接種してあることが、入院の条件となります(接種されていない場合は、入院時に接種していただきます)

犬のワクチン(予防注射)について

ワクチンでの感染症予防は100%ではありません。しかしワクチンを接種することで、発症したとしても軽く済むこととなります。とくに仔犬や高齢犬は体力・抵抗力が弱く、感染症にかかると重症になることがあります。ワクチンで予防できる感染症は、飼い主さまが積極的に予防に努めてください。

犬のワクチン

6種混合ワクチン

犬ジステンパー・ 犬アデノウイルス2型感染症・犬伝染性肝炎・犬パラインフルエンザ感染症・犬パルボウイルス感染症・犬コロナウイルス感染症

10種混合ワクチン

6種混合ワクチン+レプトスピラ病4種類

犬のワクチンの接種時期について

仔犬が持っている親犬からの移行免疫が切れる時期が生後45日ごろだとされています。そのため、生後45日ごろに初回接種を行い、その1ヶ月後に追加接種をします。その後は追加接種を、毎年行います。

狂犬病ワクチン(予防注射)について

生後3ヶ月以上の犬を飼った場合、「犬の飼い主は、犬の登録と年1回の狂犬病予防注射」が狂犬病予防法で義務づけられています。
狂犬病は、現在日本国内では発生していませんが、海外では多くの国で発生し人命が失われている人獣共通伝染病です。発症した場合助かる可能性が非常に少ない感染症のため、毎年ワクチンを受ける必要があります。
※海外から犬・猫を連れてくる場合や、国外に連れて行く場合は、農林水産省動物検疫所のホームページをご覧ください。

犬のフィラリア症

フィラリアとは、主に犬の心臓・血管内に寄生する長さ約10~15cmの寄生虫で、感染すると咳・心不全・腹水などの症状が現れ、循環器に障害が出ます。
蚊によって媒介される寄生虫のため、蚊が発生する初夏~秋までひと月に1回薬を飲ませることが必要です。また、前年度にフィラリア予防をしたとしても、春に血液検査をしてフィラリアを確認することも、大切な家族を守ることとなります。
※フィラリアの薬は、蚊が刺して感染してから1~2ヶ月目の子虫を駆虫するため、蚊の発生時期と投与時期が異なります。

犬のノミ・ダニについて

ノミ・ダニは、頸部に液体を滴下するスポット剤で予防することができます。フィラリア・ノミを同時に予防できるスポット剤はありますが、残念ながらダニまで予防できるスポット剤はありません。
犬の場合、当院では飲み薬でフィラリア予防を、スポット剤でノミ・ダニ予防をすることをおすすめしています。

犬の歯石について

人間同様、年齢とともに歯石が蓄積し、そのままにしておくと歯肉炎になり、やがて歯が抜けてしまう場合もあります。また、臼歯に雑菌が繁殖した歯石が付き歯根部に入ると、顔の骨が腐食して目の下が化膿することも。犬歯に同じ状態が起こると、鼻から常に膿み状の鼻水が出ることもあります。
さらには雑菌が臓器に移行し、腎炎・肝炎・心筋炎などを引き起こすこともあるため、定期的にお口のチェックを行いましょう。

歯石除去について

1原則、全身麻酔で行います(簡単な歯石除去は麻酔なしでも行えますが、きれいに除去はできません)

2超音波スケーラーで歯石を除去し、除去後は歯の表面をポリッシング(歯面研磨)してきれいにします

3歯根部に歯石が入りぐらぐらしている歯は、抜歯します

4歯肉炎のある場合は、術後抗生剤等の薬を飲む必要がある場合があります

※その他不明な点は、お気軽にお問い合わせください。